漫画や小説の投稿サイトで「一次創作」のタグをを目にする機会は少なくありません。一次創作とは、クリエイターが創作したオリジナルの漫画や小説、ゲームなどの作品を指します指します。
また、「二次創作との違いは何か?」「一次創作はイベントで販売できるか?」といった疑問を持っている方もいるでしょう。
本記事では、一次創作を仕事や収益につなげたいクリエイターに向けて、その定義から二次創作との違い、さらには作品を販売するための具体的なステップまでを解説します。
一次創作とは?定義や二次創作との違いを解説
はじめに、一次創作の定義や二次創作との違いを解説します。
なぜ「一次創作」と呼ばれるのか、二次創作と比較してどのような違いがあるかも解説しますので、創作を始めたい方や二次創作から一次創作へステップアップしたい方も参考にしてください。
一次創作の定義
一次創作とは、創作者が一からキャラクターやストーリーを作成した漫画、小説をはじめとする創作物の総称です。
別名を「オリジナル作品」とも言います。二次創作とオリジナル作品の両方が投稿できる創作物投稿サイトでは、二次創作と区別をつけるために「一次創作」というタグが使われるケースがあります。
二次創作と一次創作の違い
一次創作と二次創作の違いをまとめると、以下の表の通りになります。
| 一次創作 | ・創作者が完全にオリジナルでキャラクターやストーリーを作る
・パロディやオマージュも一次創作に含まれる |
| 二次創作 | ・既存のキャラクターやストーリー、世界観を利用して画や小説、グッズを作成する
・既存のキャラクターを利用したゲームやコスプレも二次創作に含まれる |
一次創作は、オリジナルの映画やドラマ、漫画など全般を指します。
漫画ならば「鬼滅の刃」、小説ならば「容疑者Xの献身」などです。ゲームであれば2025年に映画化された8番出口も一次創作に該当します。
一方、二次創作は人気漫画や映画、小説のキャラクターや設定を借りて行う創作です。
「鬼滅の刃」は一次創作ですが、「鬼滅の刃」のキャラクターを使って原作とは違うストーリーの漫画は「二次創作」に分類されます。二次創作には必ず原作があるのが一次創作との大きな違いです。
そのため、同じ作品を基に二次創作をする方が何人もいる状況も珍しくありません。
一次創作の魅力3選
ここでは、一次創作の魅力として以下の3点をご紹介します。
- 唯一無二のストーリーやキャラクターを作り出せる
- 創造力が身につく
- 小説家や漫画家への道が開ける
一次創作に興味がある方は、ぜひチェックしてみてください。
一次創作の魅力1.唯一無二のストーリーやキャラクターを作り出せる
一次創作最大の魅力は、自分だけのキャラクターやストーリーを作り出せる点です。
自分で作り出したキャラクターやストーリーは唯一無二であり、さまざまな形で自由に発表できます。
たとえば、小説や漫画を自分で発表したり、キャラクターを利用してゲームを作ったりすることも可能です。
グループで一つの作品を作り上げる、1人で納得いくまでストーリーやキャラクターを練りあげるといった一次創作ならではの楽しみ方もできます。
また、オリジナルの作品はストーリーだけでなくキャラクターも自由に動かせます。二次創作のように「このキャラは、こんな台詞を言ったり行動をしたりするのか?」と考える必要もありません。
何の縛りもない自由な発想でストーリーやキャラクターを動かしてみれば、思わぬアイデアが浮かんでくる可能性もあります。
一次創作の魅力2.創造力が身につく
一次創作を行えば、キャラクターやストーリーを構築する創造力が身に付きます。
クリエイティブな活動をするなら、創造力は欠かせません。
一次創作で読者を惹きつけるには、ストーリーやキャラクターを作り込む必要があります。
キャラクターやストーリーが、読者とすでに共有されている二次創作より、格段に難しく感じる方もいるでしょう。
しかし、将来的にクリエイティブな仕事に就きたいならば、創造力は必須です。一次創作にチャレンジし続ければ、創造力は少しずつでもアップしていきます。
一次創作の魅力3.小説家や漫画家への道が開ける
投稿サイトに一次創作を投稿すれば、商業作家や漫画家デビューの道が開ける可能性があります。
一例を挙げると投稿サイト「小説家になろう」に投稿された「魔法科高校の劣等生」は、長期間PV数トップを保ち続けて商業本版が発売され、アニメ化もされました。
小説家になろうは一次創作専門の小説投稿サイトです。「魔法科高校の劣等生」のほか、「この素晴らしい世界に祝福を!」や「転生したらスライムだった件」など、メディアミックスされた人気作品も投稿されていました。
また、2期までアニメが放送された「魔法使いの嫁」はコミティアで発表されたオリジナル同人誌です。編集者の目にとまって商業コミック化され、人気を博してメディアミックス展開されました。
小説家や漫画家になるには複数の方法がありますが、現在は投稿サイトに作品を投稿し続けてPV数を上げて商業紙デビューする方も珍しくなくなりました。
一次創作の同人誌やグッズの作り方
ここでは、一次創作の作品を本にしたりグッズを作成したりする方法として、以下2点を紹介します。
- 自分で作成する
- 印刷所を利用する
現在は、「コミティア」や「文学フリマ」など一次創作のみを対象としたイベントも増えました。
創作物で本やグッズを作成すれば、モチベーションも高まります。また、同人誌やグッズをきっかけに知名度がアップする可能性もあるでしょう。
複数の方法をご紹介するので、予算やスケジュールなどに合ったものを選んでみてください。
作成方法1.自分で作成する
プリンターやコピー機を利用すれば自分で本やグッズを作れます。
メリット、デメリットは以下の通りです。
- メリット:思い立ったらすぐに作成できる。少量の作成が可能。作成費用を抑えられる。
- デメリット:大量作成は難しい。業者に依頼するより仕上がり具合が今ひとつ。
自分で作成すれば、1部から価格を抑えて本やグッズが作れます。
現在は、コンビニのマルチコピー機を利用すればグッズや本を作成できます。
一方で、大量の本やグッズを作るには向いていません。また、ページ数の多い漫画や小説は作成が難しいのもデメリットです。
このほか、コピー機やプリンターの性能によっては漫画の細い線が潰れてしまい、きれいに出力できない可能性もあります。
一部だけプリンターやコンビニのマルチコピー機で作ってみて、その後印刷所を利用してみるのもおすすめです。
作成方法2.印刷所を利用する
印刷所は性能の高い印刷機や製本機などを利用し、クオリティの高い本やグッズを作れます。
メリット、デメリットは以下の通りです
- メリット:クオリティの高い本やグッズを作れる。個人では作成しにくいグッズも作成可能
- デメリット:グッズ制作に一定の費用がかかる
カバーや帯付きの本を作れるプランを提供している印刷所もあり、商業本と変わらない体裁の本も作成可能です。
また、箔押しやラメ、小口装飾などを利用すれば、豪華な本を作ることもできるでしょう。
グッズであれば、ハンドタオル、スマホケース、食器類など個人では作成が難しいグッズも作成可能です。デザイン次第でクオリティの高いものが作成できます。
現在はグッズ1個、本1冊から作成を引き受けてくれる企業もあります。また、大量に作成するほど1個あたりの単価は下がるので、まとまった数を作りたい場合は印刷所に依頼したほうがお得です。
同人即売会に参加するのであれば、印刷所を利用した本・グッズ作成がおすすめです。
当社フルグラフィックファクトリーでは、こだわりの昇華転写プリントで全面印刷できる高品質なグッズ制作が可能です。
豊富なグッズラインナップで多方面のお客様からお喜びの声をいただいております。
少しでも気になった方は、フルグラフィックファクトリーの商品をご覧になって、一次創作の世界に足を踏み入れてみてください。
一次創作の発表の場は?イベントで本の販売は可能?
オリジナルの漫画や小説を発表できる場として、以下があります。
- 投稿サイト
- SNS
- 即売会イベント
発表できる場があれば創作のモチベーションも保ちやすいため、小説や漫画、イラストなどを創作したら発表してみましょう。
一次創作発表の場1.投稿サイト
長編の漫画や小説を投稿するのであれば、Web投稿サイトがおすすめです。
利用者が多い投稿サイトには、以下のようなものが挙げられます。
- pixiv:漫画・イラスト・小説(2次創作も可能)
- アルファポリス:オリジナル漫画
- 小説家になろう:オリジナル小説
- カクヨム:オリジナル小説
- Amazon:Kindleとして小説・漫画の発表が可能
投稿サイトごとに、読者層や投稿されている作品の傾向が異なります。
また、現在は大手ECサイトAmazonでもKindleを利用して無料で漫画や小説を公開したり、販売したりすることができます。
どの投稿サイトも無料で利用が可能なので、アカウントを作って投稿してみましょう。
また、投稿サイトによっては商業デビューにつながるコンテストを実施しているところもあります。
オンラインなので気軽に参加できるので、チャレンジしてみるのもおすすめです。
一次創作発表の場2.SNS
XやInstagram、tiktokは短い漫画や小説、イラストを発表する場としても利用されています。
SNSのメリットは投稿したら即反応が返ってきやすい点です。
また、創作物がバズれば、日本だけでなく世界中から注目される可能性があります。
SNSは長編の漫画や小説をいっぺんに掲載するには不向きですが、1話ずつ連載していく形にしたり、4コマ漫画のようなショートストーリーだけを載せたりするなどの工夫次第で多くの読者を集められます。
また、長編作品は冒頭をSNSに載せて興味を引いたところで、別の投稿サイトに誘導する使い方も可能です。
ただし、SNSのように一瞬で多くの人の目にとまる場所にイラストや漫画を挙げると、AI学習の素材に利用されたり、転載されたりするリスクもあります。
アップする際は、透かしを入れるなどの対策をするのがおすすめです。
一次創作発表の場その3.即売会イベント
一次創作の小説や漫画を本にして同人誌即売会で販売することも可能です。
オリジナルの作品が多く販売されているのは、以下のようなイベントが挙げられます。
- コミックマーケット(コミケ)
- コミティア
- 文学フリマ
コミックマーケットは、二次創作の同人誌即売会のイメージが強いですがオリジナルの同人誌を販売するサークルもたくさんあります。コミティアや文学フリマはオリジナル同人誌オンリーの即売会です。
コミティアは、漫画雑誌の編集者も足を運ぶイベントです。文学フリマは、プロの小説家も参加しています。
このほか、二次創作の同人誌が多い即売会でも、ジャンルを問わずサークル参加できる「オールジャンル」と名乗る即売会であれば、一次創作の同人誌を販売できます。
一次創作で閲覧数が伸びない理由
ここでは、一次創作をためらう理由として以下2点を紹介します。
- 二次創作と比べて知名度が低い
- 読者が作品に触れる手段が少ない
閲覧数が伸びない理由が分かれば対策も立てられます。
一次創作を公開しているが閲覧数が伸びずに悩んでいる方は、参考にしてください。
二次創作と比べて知名度が低い
一次創作は、二次創作と比べて作品を手に取って読んでもらうまでのハードルが高めです。
二次創作の場合、原作の人気が高まれば自然に二次創作の人気も高まっていく傾向があります。
一次創作の場合、創作物を発表したら「作品を知ってもらう活動」も同時に行う必要があります。
特に、長編小説や長編漫画は「長い」というだけで敬遠されがちです。
投稿サイトに作品を投稿したらSNSで宣伝をするなど、工夫をしてみましょう。
読者が作品に触れる手段が少ない
小説や漫画の投稿サイトに集まるのは、読者よりも創作者が多い傾向です。
「何か面白い漫画や小説が読みたいので、投稿サイトに探しに来た」といった方もいますが、少数です。
また、二次創作の同人誌が増えた現在、オリジナル作品の同人誌はなじみが薄い方も多いでしょう。
二次創作は原作が人気になれば、創作者が増えて短時間で同人誌即売会やオンラインで「オンリーイベント」が開かれるケースもあります。
一方、オリジナルは地道に宣伝をして認知度を挙げていく必要があります。
一次創作で閲覧数を伸ばすポイント
ここでは、一次創作で閲覧数を増やすポイントを以下3つ紹介します。
- SNSで作品を発表する
- 定期的に作品を投稿する
- イベントに積極的に参加する
閲覧数が上がればSNSなどで話題になる可能性も高まり、商業出版のチャンスが得られる可能性が高まります。
実践できるものから、実践してみてください。
SNSで作品を発表する
SNSは、投稿サイトと比較して多くの方に作品を見てもらえるチャンスを得られます。
一方で、重宝で長編の漫画や小説はアップしにくい点がデメリットです。
デメリットを解消して、SNS利用者の興味を引くには、毎日1ページずつ漫画や小説をハッシュタグを付けて更新していく方法があります。
一例を挙げると、メディアミックスが大成功をおさめた「ちいかわ」やTVアニメ化もされた「ねこに転生したおじさん」などは、1~2Pずつ短い話を投稿してSNS利用者の興味を引きました。
また、長い漫画の一部をSNSに挙げて読者の興味を引き、投稿サイトに誘導する方法もあります。
X・Instagram・tiktokなど作品の質に合せて投稿場所を選びましょう。
SNSで話題になれば一気に書籍化まで話が進む可能性もあります。
ハッシュタグを付ける、短時間でサクッと読める話を作るなど、SNSに合せた作品作りの工夫も大切です。
定期的に作品をに投稿する投稿先に定期的に作品を投稿すると、口コミで読者が増える可能性があります。
例えば、長い作品を一気に投稿するより、1話ずつ10日間連続して投稿したほうが、「このくらいならば読めるかな」と読者のハードルを下げられます。
イベントに積極的に参加する
同人誌即売会は、同人誌を手に取ってもらえるチャンスです。
作品によってはオンラインよりも紙媒体のほうが読みやすいものもあります。
また、同人誌即売会には「面白そうな作品があれば、購入したい」と考えている方も来場するため、読者を増やすチャンスです。
まとめ
本記事では、一次創作の定義や魅力、発表の場や閲覧数を伸ばす工夫を紹介しました。
小説や絵を仕事にしたいと考えている方にとって、オリジナル作品を作る力は必須です。
一次創作は二次創作に比べて、閲覧数が伸びにくい、同人誌が売れにくいといった点もありますが、それを乗り越えて読者をつかんだ喜びは大きいでしょう。
創作に興味がある方は、ぜひチャレンジしてみましょう。

