同人イベントに参加するなら、周囲と気持ちよく過ごすためにもマナーや暗黙の了解を理解しておきたいもの。
「そんなつもりじゃなかったのに…」と迷惑や不快な思いをさせて後悔しないために、本記事ではサークル参加者として知っておきたいマナーや注意点をわかりやすく紹介します。
事前にチェックをしておくことで、不安なくイベントを楽しめるようになります。
イベント前〜設営時のマナー
イベント前の準備の時点で既に気をつけた方がいい点はいくつか存在します。同人イベントならではの文化的なものも併せて見ていきましょう。
隣のサークルへの挨拶は基本
会場に入ったあと、自分のサークルに着いたら隣接しているサークルに軽く挨拶しましょう。
「おはようございます。」や「今日はよろしくお願いします。」など、簡単なもので問題ありません。挨拶をしておくことで、当日お互い感じよく過ごすことができます。
挨拶があまりにも長いと隣のサークルの設営準備の邪魔になってしまうので、注意が必要です。
また、イベント中にトラブルや困ったことが起きるかもしれません。
事前に挨拶をしておくと、そういったときのコミュニケーションも取りやすくなります。
撤収時にも「お疲れ様でした。」「お先に失礼します」などと一言かけると、印象良くスペースを立ち去ることができます。
スペース設営は隣接スペースの邪魔にならないように
サークル設営で大切なのは、隣のサークルを圧迫しないことです。
なぜなら、即売会でのサークルスペースは限られており、オーバーすると隣接するサークルに迷惑をかけてしまうからです。
参加するイベントによりますが、同人イベントでの一般的な1サークルあたりのスペースは、長机半分(横90cm×奥行き45cm)程度です。
明確な目印があるわけではないので、だいたい半分あたりを目安に設営を行います。
事前に自宅で同じサイズを想定して設営をしてみたり、1スペース分のサイズの敷布を用意しておくと、当日もスムーズに設営ができるのでおすすめです。
敷布について詳しく解説した記事は【内部リンク挿入予定】をご覧ください。
頒布中のマナーと気配り
イベント中は接客から在庫管理、他サークルへの買い物などなにかと忙しいもの。その中でも同人イベントならではの守るべきルールやマナーが存在します。
参加者全員が気持ちよく過ごせるように、守りたいルール・マナーについて見ていきましょう。
スペースを空ける時はメモを残そう
イベント中はトイレや他の参加者の本を買いに行くこともありますが、その際はスケッチブックなどに「離席中。戻り次第対応します」などと、メモを残しておきましょう。なぜなら、タイミング悪く作品を買いに来てしまった人も安心して再度訪れることができるからです。
また、離席中は頒布物が置きざりになるため、布を被せてから席を外すと盗難防止にもなります。貴重品はトラブル防止のため必ず持ち歩くようにしましょう。買い物に夢中になりすぎず、なるべく早く自分のスペースに戻るように心がけましょう。
買い物が多い場合は、お手伝いをしてもらう「売り子」を頼んだり、作品を買いに行ってもらうことを依頼する「買い子」を友人などに依頼するのもひとつの手段です。
頒布物の内容は分かりやすく表示しよう
同人誌を販売する場合は値札と共に本の内容を示すと親切です。
主に記載する内容は以下を参考にしてみてください。
- カップリング(またはオールキャラクター本)
- あらすじや話のジャンル(ギャグ、恋愛など)
- 上下巻や続き物、再録本などの表記
- 新刊、既刊などの表記
また、年齢区分を設けている場合は必ず表記を行いましょう。
もちろん、年齢確認を行うのもサークル側の義務なので、西暦での年齢計算表などを事前に印刷しておくと安心です。
成人向けをメインで扱うサークルでポスター掲示をする場合は、苦手な人にも配慮することが望ましいです。
同人イベントでの年齢確認についての詳しいルールについては、こちらの記事を参考にしてみてください。
在庫や荷物は机の下へ
在庫や荷物は必ず机の下に収めましょう。
なぜなら、段ボールやカバンが通路へはみ出てしまうと、通行する人がつまづいて、転んで怪我に繋がる恐れがあるからです。
また、同人即売会では机が外側を向くように二列並び、内側に座って接客を行います。
そのため、自分の後ろに荷物を置くことも、他のサークル参加者の移動の妨げになってしまうため、荷物は自分のスペースである机の下に収まるようにしましょう。
このように、在庫や荷物は机の下に収めることを徹底することで、安全性と周囲への配慮を両立できます。
”牛歩販売”はNG
牛歩販売とは人気サークルに見えるようにわざとゆっくり販売し、列を作ることをいいます。
もちろん、隣のサークルや通行人への迷惑にもなるので絶対NGな行為です。
そういった行為を行うと、「あのサークルは牛歩販売をする」と噂になり、そのジャンルで活動すること自体やりづらくなる可能性もあります。
そのかわり、接客導線の工夫やお釣りの事前準備などによる会計の効率化を目指して、スムーズな販売を心がけましょう。
列整理も忘れずに
スムーズなやり取りができるように事前に工夫をすることは必要ですが、それでも列ができてしまったときは必ず列整理を行い、周りの迷惑にならないように配慮をしましょう。
列が横に伸びて隣のサークルの前に人だかりができてしまっている場合は、迅速に移動をお願いする必要があります。
整理がどうしても難しい場合は、イベントスタッフに相談して指示を仰ぐことも可能ですが、自分のサークルにできた列は基本的に自分で整理をする必要があります。
事前にシミュレーションなどをしておくと安心です。
製本・袋詰め作業は事前に済ませておこう
イベント当日は、できるだけ製本やグッズの袋詰めを自宅で済ませておくのがおすすめです。
なぜなら、会場で作業をすると机の上や通路が作業スペースになってしまい、設営や頒布の準備に時間を取られてしまうからです。
机上で音が出たりゴミが散らかると、会場の雰囲気を壊しかねません。
そのため、事前に製本や袋詰を済ませておいて、「当日は並べるだけ」にしておくと、スムーズに設営を進められ、気持ちに余裕を持って参加ができて安心です。
終盤・撤収時のマナー
撤収時にもマナーを守って気持ちよく会場をあとにしましょう。
同人イベントでは、”売り手と買い手”ではなく、参加者はみんな同じ立場で楽しむのが基本です。スタッフはいますが、基本は自己責任で行動するのが原則です。
最後まで正しいマナーで参加し、開催してくれた主催者に感謝の気持ちを込めてイベントを締めくくりましょう。
机周り・床にゴミを残さない
準備やイベント中に出たゴミは自分自身で片付ける必要があります。
出入り口付近などにゴミ箱があるので、イベント中に出たゴミはそういった場所に捨てることができます。
会場によってはゴミは持ち帰り制の場合もあるので、事前にルールを確認しましょう。
撤収作業が終わったら、ゴミが落ちていないか、忘れ物は無いかなど、机周りをチェックしてから会場を出ましょう。
欠席の場合はSNSなどで告知を
欠席する場合は、SNSなどで告知をしておきましょう。なぜなら、一般参加者の中には楽しみにして計画を立てている人もいて、無断欠席は不親切で迷惑に感じられることがあるからです。
たとえばX(旧Twitter)やイベント告知ページで「急用のため」や「新刊を落としたため、本日のイベントは欠席します。大切なスペースに穴を空けてしまい申し訳ございません。」と、一言理由を添えると、誠実な印象を与えられます。
多くの場合主催者への連絡は不要であることがほとんどですが、会場に搬入物がある場合は、速やかに宅配業者に連絡を入れて、返送または引取の手配をすることが必要です。
チラシ配布は主催ルールに従って
今後参加する予定のイベントや、主催予定のイベントのチラシを配布する場合は、主催のルールに従えば配布が可能です。
無断でイベントのチラシを配るのはマナー違反なので注意しましょう。
チラシの配布は主催によってルールが異なるため、事前に許可の取り方を公式サイトで確認しておくとスムーズです。
+αで気をつけたいポイント
設営マナーの基本を押さえたら、さらに+αできをつけたいポイントを確認しておきましょう。
写真撮影の配慮や、人気サークルの工夫を知ることで、ワンランク上の参加ができるようになります。
撮影は周りへの配慮に気をつけて
サークルの設営が完成したら、SNSへ写真を投稿して報告をするのも宣伝効果になりおすすめです。
その際には他の参加者や作品が映り込まないように配慮しましょう。
同人活動を学校や会社などで知られたくない人もいるので、「映り込んでいるかも?」と誤解をされないように、周囲に配慮をしながら撮影を行うのが望ましいです。
もちろん、他のサークルの写真や参加者を撮影するのは厳禁です。
コスプレイヤーの写真を撮りたいときは、許可を取って撮影可能エリアに移動するのがマナーです。
壁サークル・シャッター前の動線や振る舞いを見習おう
壁サークルやシャッター前と呼ばれるサークルは、人気の高いサークルといえます。
長蛇の列ができやすいサークルが、どのように接客時の振る舞いや設営、列の整備をしているかをチェックするのもおすすめです。
必ずしも真似する必要はありませんが、参考になるでしょう。
売り子を頼む時のマナーと注意点
売り子は何人まで?イベントごとの規約をチェック
多くのイベントでは、1スペースに概ね2〜3人まで入ることが許可されています。
しかし1スペースあたりの広さは長机の半分ほどのため、3人入ると窮屈感が出る可能性が高いです。
そのため、実際に売り子をお願いする場合は自分を含めてスペース内に2名くらいが望ましいといえます。
荷物や在庫もあるため、隣接するサークルに迷惑がかからないように気をつける必要もあります。
売り子は名札や腕章があると丁寧な印象に
絶対ではないですが、サークル主と売り子の区別が分かるようにすると、参加者に丁寧な印象を与えることができます。
参加者の中には、サークル主に会うことを楽しみにして来る人もいます。
勇気を出して声をかけてみたら売り子だった、なんてことになるとお互い気まずくなりかねないので、名札にペンネームや「売り子」と記載したり、簡単な腕章で見分けをつけると親切です。
売り子との雑談に夢中にならない
イベント参加中、売り子とのおしゃべりに夢中になりすぎないように注意しましょう。
イベント中は常に忙しいとは限らず、とくにサークル参加初心者のうちは手持ち無沙汰になる時間帯も発生することがあるかもしれません。
しかし、その時間にサークル内で売り子とお喋りに夢中になってしまうと、周囲に声が響き迷惑になったり、サークルに来た参加者にも声をかけづらい印象を与えてしまいます。
声の大きさに気をつけたり、参加者が来たときは会話を止めて挨拶するなどすると、印象が良くなります。ちょっとした配慮が安心感につながり、スペースに立ち寄ってもらいやすい雰囲気を作ることができます。
売り子へのお礼や事前共有も忘れずに
売り子をお願いする場合は、事前のルール確認も大切です。
金銭や在庫の扱いや管理方法など、お互い同じやり方で対応ができると安心です。
金銭の扱いでは、会計ミスを防ぐために事前にレジ袋や釣り銭の位置を決めておくと安心です。
後にトラブルにならないように、事前によくルールを確認しあって、信頼関係が築けている相手に売り子を頼むのが望ましいです。
また、イベントは朝から夕方までの長丁場。終わったあとはお礼をするなど、最低限のマナーを守ると今後も売り子を頼みやすくなり、相手も喜んで手伝ってくれることもあるでしょう。
まとめ
同人イベントで知っておくと安心できる、マナーや暗黙の了解を紹介しました。
サークル内での過ごし方や、撮影、接客の仕方はどのイベントでも共通ですが、チラシ配布などイベントごとにルールが違うものは、事前に主催の公式サイトなどで確認をしておくと、当日スマートに準備を進められて安心です。
事前にルールの確認や取り決めをしておけば、売り子を頼んで参加することも怖くありません。
それぞれがたくさん準備をして楽しみにしてきた同人即売会。マナーや心得を守るとトラブル防止にもつながり、同人イベントを最大限楽しむことができます。
ぜひ、次回のイベントにお役立てください。

